高崎神社

2008年06月アーカイブ

生命継承の軌跡 その3

 今年のNHK大河ドラマは「篤姫」、初回放映で篤姫は、「私は薩摩に生まれたことを誇りに思います。」と語った。脚本家は、「私は日本に生まれたことを誇りに思います。」を連想して、日本と薩摩を置き換えて篤姫に語らさせたと推量される。
 今を憂える脚本家の心情が、この一言に見事に滲み出ていると言える。この一言は、日本人が日本に生まれたことを誇りに思うことを、日本が誇りに思える国になることを希求しているのである。
 今から8年前のNHK大河ドラマは「葵・徳川三代」、平成12年11月12日の放映で、二代将軍秀忠は御台所お江の方の死後、その子家光と忠長を前にして、「やがて人は死ぬ。お江は己が命をそちたちに伝えた。お江の命は家光の中に、忠長の中に生きている。そちたちも子をなして、お江の命を伝えよ。己が命を伝えるは、この世に生を受けしもののつとめぞ。親にとっての何よりもの幸せは、我が子の幸せである。」と語っている。
 脚本を担当したジェームス三木が、秀忠にこのように語らさせたのである。脚本家は史実に反して書くとアウトになるが、空白の部分では、どのようにでも腕が奮えるのである。つまり彼は、徳川家には伝統的な生命継承の思想が連綿として引き継がれていたと観じ、又この思想は彼の哲学とも一致していたのである。それなればこそ、ジェームス三木、彼自身の哲理を秀忠をして語らさせたのである。

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