高崎神社

2007年12月アーカイブ

二十年の周期に因みて

 伊勢の神宮では、二十年を周期として、新宮造りが営まれている。弥生時代より継承する往古の建築様式が、寸分違うことなく再現される。
 第一回の新宮造りは、持統天皇四年に営まれているが、その約八十年前には、現存する世界最古の木造建築物である奈良斑鳩の法隆寺が創建され、又約七十年後には、校倉造の正倉院が建てられている。
 飛鳥時代から奈良時代にかけ、先人達は、現代人が目を見張る程の恒久的木造建築物を築く高度な建築技術を備えていたのである。
 然るに、時代の変遷に伴って習得した建築技術は、新宮造りに応用されることなく、往古よりの伝統的建築様式が墨守されてきているのである。
 往古よりの伝統的建築様式を継承することに、新宮造りの意義が籠められていると言える。往古よりの様式を尊重し、継承することは、往古よりの伝統的精神を尊重し、その継承を図ろうとすることに相通じているのである。
 この二十年の周期は、掘立柱萱葺き神明造り木造建物の耐用年数によるとの解釈もされるが、そんな単純なものではなく、先人達の英知の結集による所であると言える。
 十年一昔と言われる。これは世の中の動向は、十年を一区切りとして推移していくと見る喩えである。が、人生については、二十代、四十代、六十代は、一つの節目であり、人の営みは、二十年を単位として推移していくとも言える。
 人生の推移と同じように、時代の推移も、大まかに二十年を一つの単位とすると、即ち、世の中の事象が、二十年を周期として推移していくとみる見方が成り立つのではなかろうか。
 新宮造りは、この時代の推移の単位ともみられる二十年を周期として営まれ、新殿が造営されるのである。
 先人達が祖先から継承した伝統的精神を、後世の人達に継承させようとする場合。その手段は、言葉とか、文字によって伝播されることになるが、更に具体的な形に現すことにより、即ち物理的行為の裏付けを伴って、顕現させることによって、より確かに伝播させることが可能となるのである。
 新宮造りは、二十年毎に子々孫々が、祖先と心と心を通わせ、祖先が培った固有の伝統的精神を継承し、国柄の更新を二十年毎にはかる行事であるとも解釈されるのである。

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